こんにちは。
今回は、ホーンテッドマンションの部屋に関するバックグラウンドストーリー(以下BGS)をご紹介させていただきます。そして、この記事では各部屋の中でもプレショーの部屋(ホワイエ・ストレッチングルーム)について紹介いたします!
ホワイエ(ロビー)
一つ目のプレショーで案内される部屋です。
この部屋には上記の写真のとおり、一人の男性の肖像画が飾られています。そして、この男性は次第に年老いていき、最後に白骨化してしまします。
この年老いていく男性が、マスター・グレイシーです(彼の物語の詳細は、「ホーンテッドマンションのバックグラウンドストーリーを紹介~館の歴代の主~」で紹介しております)。
そんな不気味な肖像画を観ていると、「扉ひとつない部屋で身の毛のよだつ…」とどこからともなく不気味な声が聞こえてきます。
この声はこの館の主、ゴースト・ホストです。これからゲストにホーンテッド・マンションを案内してくれる亡霊です。
ということは、ゴースト・ホスト=マスター・グレイシー?と思いますよね?
ただ、次のように説明されているものもあります。
長年にわたり、ゴーストホストはこの館の主 — グレイシーとかいう名の ― だという説が広まっているが、そうではなく、ゴーストホストは999人の幸福な亡霊のうちのひとりにすぎない。
引用:「ホーンテッドマンションのすべて」ジェイソン・サーレル著、講談社出版
上記の記述からすると、マスター・グレイシー=ゴーストホストではないことになります。これを前提にすると、次に紹介いたしますストレッチングルームの最期の場面の物語の解釈が異なっていくことになります。詳しくは、後述しますストレッチングルームの「首吊りの男」の物語で紹介させていただきます。
ストレッチングルーム
続きまして、2つ目のプレショーの部屋、ストレッチングルームについてです。
このプレショーでみることのできる4枚の絵、原則として、ゴースト・ホストの一族の最期を表現した絵画になっているといわれています。それでは、それぞれの絵の人物の物語を紹介させていただきます。
リリアン
引用:「ホーンテッドマンションのすべて」ジェイソン・サーレル著、講談社出版
リリアンはマスター・グレイシーの最初の妻
このワニのいる川で綱渡りをしている女性は、マスター・グレイシーの最初の妻、リリアンです。
裕福な家庭で育ったが、団員に恋をし、サーカス団に入団
リリアンは、裕福な家庭に生まれ、幼少期においては何不自由なく育てられました。
それでは、なぜサーカス団に?と思いますよね?
それは、リリアンが15歳の時、その転機が訪れます。リリアンの住む街にサーカス団がやってきたのです。そこでサーカスの演者をしていたアレックスという人物にリリアンが惚れ込んでしまいます。
しかし、サーカスは真夜中に街を離れ、リリアンの恋は実らず…
それによって、リリアンは落ち込みますが、1週間後には、アラバマ州までアレックスを追いかけ、サーカス団に入団します。
ただ、入団した時点で肝心のアレックスはライオン絡みの事故で亡くなっていました。これで完全にリリアンの恋は実ることはなくなってしまいました。
しかし、リリアンはそれでもアレックスを近くに感じたいと思い、サーカスに残って綱渡りを披露します。
マスター・グレイシーとの結婚生活
その綱渡りを披露していたリリアンの姿に一目ぼれをした男性がいました。ホーンテッドマンションの主 - マスター・グレイシー -です。
マスター・グレイシーに見初められ、リリアンは、彼と結婚することにしました。
その後、リリアンは、幸せな結婚生活を送りました…とはいきませんでした。マスター・グレイシーが、降霊術師であるマダム・レオタを館に住まわせるようになったのです。
夫であるマスター・グレイシーは降霊術にのめり込んでいき、さらには、マダム・レオタには娘が産まれます。マダム・レオタは決して父親の名前を明かさなかったそうですが…父親が誰であるかは言うまでもありません・・・
加えてリリアンは、この親子から嫌がらせを受けます。
マダム・レオタの存在をマスター・グレイシーに抗議
遂にリリアンは、マダム・レオタ親子を館から追い出してほしいとマスター・グレイシーに懇願しますが、マスター・グレイシーにはその願いを無視されてしまいます。そのこともあってか、リリアンは次第に鬱っぽくなってしまっていきました。
一方で、マダム・レオタは、リリアンが自分を館を追い出そうとしていることを知ります。そして、館を追い出そうとするリリアンに怒ったマダム・レオタは、リリアンを始末する機会を虎視眈々と狙うようになりました。
リリアンの最期
そして、リリアン最期の時がとうとうやってきてしまします。
ある日、館でパーティが開かれることになりました。そこで、マダム・レオタはリリアンがサーカスで綱渡りを得意としていたこと思い出し、リリアンに館の近くの川で綱渡りをみんなに披露するようにしつこくリクエストします。
リリアンは当初綱渡りをすることを拒否していたのですが、マダム・レオタにしつこく頼まれ、断りにくくなってしまいます。そして、結局、リリアンは綱渡りを披露しなければならない状況に陥ってしまいます。
そして、館のそばを流れる川にロープを張り、リリアンは綱渡りを披露し始めます。最初は順調だったようですが、川の半分まで来たところ、ロープが突然切れてしまいます。
そして、リリアンは川に落ちてしまいます。よりにもよってその川にはワニが生息していました。そこで、リリアンは残念ながら、ワニの餌食となってしまいました。
これが、マスター・グレイシーの最初の妻、リリアンの物語です。
上で引用させていただきました絵画は、まさにリリアンが綱渡りしていた、綱が切れる直前を表現したものでした。一見、事故なのではないかと思うような出来事ですが、のちにマダム・レオタ自身がリリアンはマダム・レオタが原因で亡くなったと、マスター・グレイシーとの口論の際に告げており、マダム・レオタの仕業であったということが判明することになります。
エドワード・グレイシー
引用:「ホーンテッドマンションのすべて」ジェイソン・サーレル著、講談社出版
エドワード・グレイシーはマスター・グレイシーの叔父(伯父?)
次に紹介させていただきたいのは、ダイナマイトの樽(しかも導火線に着火済み)の上に凛々しい顔で立っている男性、マスター・グレイシーの叔父(伯父?)であるエドワード・グレイシーです。
後で紹介しますマスター・グレイシーの父であるジョージ・グレイシーとどことなく顔(特に目元とか?)が似ているようにも見えるので、ジョージ・グレイシーの兄弟ですかね…
まず、あの絵を見て、「そんな凛々しい顔しておきながら、なんでズボンはいてないの?」って思う方もいらっしゃるかと思います(少なくとも私は思ってました…)。それは、後ほどご紹介させていただくとして、エドワード・グレイシーの物語を順を追って紹介させていただきます。
まず、エドワード・グレイシーとマスター・グレイシーとの関係性ですが、当初は良好であったようで、甥のマスター・グレイシーにできる限りの支援をしてきたようです。
もっとも、その後、家の財産の使い込みが原因で大喧嘩に発展。2人は完全に仲違いしてしまったそうです。
エドワードの最期
そして、仲違いをしたままエドワード・グレイシーに突然最期の時がやってきます。
1937年、エドワード・グレイシーはビルマ(ミャンマー)の大使に任命されます。そして就任後のある日パーティで、自身のズボンが用意できるまで、スピーチに目を通しておりました。
そして、まさにそのタイミングで、武装した集団がエドワード・グレイシーのいた大使館に襲撃しに来たのです。彼は咄嗟に地下室へと逃げ込みます。
ただ、逃げ込んだ地下室には、武装した者たちの仕掛けたダイナマイトが置いてありました。
そこで、彼はダイナマイトの上に乗り、「お前たちがこの建物を爆破するならば、お前たちも私と一緒に死ぬのだぞ」と叫びます。
しかし、叫びも空しく大使館は爆発し、エドワード・グレイシーは亡くなってしまいました。
これが、マスター・グレイシーの叔父(伯父?)のエドワード・グレイシーの物語です。
上で引用させていただきました絵画でエドワード・グレイシー手にもっていたのはスピーチの原稿だったんですね。また、ズボンをはいていなかったのは、ズボンの準備をしていたからということでした。
メアリー・ギルバート・グレイシー
引用:「ホーンテッドマンションのすべて」ジェイソン・サーレル著、講談社出版
メアリー・ギルバート・グレイシーはマスターグレイシーの母
3番目に紹介させていただきたいのは、墓石の上に一輪の花をもってすましている女性、マスター・グレイシーの母のメアリー・ギルバート・グレイシーです。
この絵画、ストレッチングルームの他の絵画とは違う点があります。他の3枚の絵画は、描かれた人物の最期の姿なのですが、この絵画だけ、絵画の主人公が最後に目撃されたときの姿を描いています。
そのような他の3枚とは異なる絵画の主人公、メアリー・ギルバート・グレイシーの物語を紹介します。
過保護で窮屈な生活から自由を求めた幼少期
メアリーは、子供時代、過保護で窮屈な生活を送っていました。そんな生活の中、そんな生活から逃げたい、自由になりたいと思い続けてきました。
メアリーが10代の頃、過保護にメアリーを育ててきた父親と継母が亡くなります。そこで、メアリーは、メアリーと共に残された家族であり、当時赤ん坊であったエイサの世話役を担うことになってしまいます。
過保護な生活から解放されましたが、メアリーはエイサの世話をしなければなりません。そこで、自由を望むメアリーは、次第にエイサを憎むようになります。最後は、メアリーはエイサを脅し、追い出すことに成功します。
ジョージ・グレイシーとの結婚、マスターグレイシーの出産
大人になり、晴れて自由になったメアリーは、新しい場所や人々に出会うため、積極的に外に出かます。そのなかで、マスター・グレイシーの父であるジョージ・グレイシーと出会います。
ジョージ・グレイシーはメアリーを口説き続けます。一方のメアリーは、やっと自由に手に入れたばかり、まだまだ自由を謳歌しようと思っていました。
しかし、そこでメアリーの妊娠が発覚します。メアリーは、結婚せざるを得なくなってしまいました。
結婚後も引き続き自由を手に入れることを諦めることはできなかった
ただ、メアリーは自由になることを諦めませんでした。
夫のジョージ・グレイシーは、仕事が忙しく、家にいることはあまりありませんでした。そこで、息子のマスター・グレイシーが学校に行く年頃になると彼を寄宿学校に入学させ、自由になろうと計画します。
しかし、その計画もうまくいきませんでした。息子を寄宿学校に入れたはいいものの、今度は夫が館で仕事をするようになります。
夫の裏切りを利用して、ついに自由を獲得
このまま自由を手に入れられないのか…と思われた矢先に、メアリーにとって好機が訪れます。
ある日、夫であるジョージが、ボストンにいるパッターソン夫人と浮気していたこと、さらにパッターソン夫人との間にダニエルという子どもまでいることを告白します。
これは、メアリーにとっては願ってもない口実でした。そして早速。この告白があった夜、メアリーはジョージ・グレイシーを斧で襲います。
メアリーは、夫の殺人容疑をかけられ、裁判になりますが、証拠不十分で罪に問われることはありませんでした。
裁判で無罪を勝ち取ったメアリーは、ホーンテッド・マンション以外に所有していた家や別荘を売却し、その資金で単身ヨーロッパへと渡ります。
その後、メアリーの連絡は途絶え消息不明となってしまいました。
これが、マスター・グレイシーの母、メアリー・ギルバート・グレイシーの物語です。
上で引用させていただきました絵画は、メアリーが消息不明になる前に最後に目撃された姿を描いたものです。彼女は自ら襲った夫の墓石の上に不敵な笑みを浮かべて座っていたのが目撃された最後の姿でした。
エイサ・ギルバート、エディ・フォスター、ダニエル・パッターソン
引用:「ホーンテッドマンションのすべて」ジェイソン・サーレル著、講談社出版
彼らは、リリアンと同じサーカス出身で、リリアン推し
次に紹介させていただきたいのは、流砂にのみ込まれつつある3人の男性、エイサ・ギルバート、エディ・フォスター及びダニエル・パッターソンの物語を紹介させていただきます。
この3人のそれぞれの出生については詳しく語られていないようですが、3人はサーカス団の団員でした。そして所属していたサーカス団というのが、マスター・グレイシーの一人目の妻、リリアンが所属していたサーカス団でした。
マスター・グレイシーだけでなく、この3人もリリアンに夢中になります。
しかし、仲の良かった3人は、女性関係で友情を壊すことは避けようと誓いあいます。
リリアンの提案により、サーカス団員から使用人へ
一方で、リリアンとしても3人のことを気にかけていて、結婚するにあたり、3人を館で使用人として雇えないかマスター・グレイシーに提案します。
そして、3人はリリアンの計らいもあって、館の使用人として、忠実に仕事をこなしていました。ただ、マスター・グレイシーの奇妙な行動については距離を置いていました。
しかし、使用人として雇われてから間もなく3人にとっては悲しい出来事が起きてしまいます。上述したように、リリアンが綱渡り中、不慮の事故(?)で亡くなってしまったのです。
リリアンがいなくなってからも、マスター・グレイシーに仕える
3人は悲しみをこらえ、これまで以上にリリアンに対する思いを自分たちの心の中にしまいこみました。ただ、リリアンの推薦で館の使用人となった3人。彼らはリリアンが亡くなったことにより、マスター・グレイシーによって解雇されるのではないかと不安に思っていました。
これについては、マスター・グレイシーとしては、忠実で紳士的な3人を家族同然に思っていたため、解雇をしませんでした。したがって、3人は、引き続き館の使用人として働き続けます。
そんな3人をマダム・レオタの娘であるリトル・レオタがたぶらかそうとしますが、彼らは彼女の誘惑には乗りませんでした。
3人組の最期
ある嵐の夜、リトル・レオタは、3人に対して、川の近くのガチョウを調べるようにいいました(このリトル・レオタの依頼内容はバリエーションがあります)。
悪天候により視界が悪い夜、悪魔の声が聞こえ、3人は方向が分からなくなってしまい、最終的には流砂にはまってしまいます。肩車をして必死に揺れる木の枝につかまろうとしましたが無駄に終わり、3人は流砂にのみ込まれて亡くなってしまいます。
3人が亡くなってからは、霧のある朝には3人の亡霊が館の外に時々現れて仕事をこなすそうです。
これが館の3人の使用人(エイサ・ギルバート、エディ・フォスター及びダニエル・パッターソン)の物語です。
上で引用させていただきました絵画で流砂で飲み込まれ、死に向かっている状態を表現したもののようです。肩車をしているものの、枝を探している様子もないことから、3人とも死を覚悟したときの状態ということでしょうか…
ところで、3人の使用人のうち、エイサ・ギルバート、ダニエル・パッターソンの名前に見覚えがありませんか??
マスター・グレイシーの母、メアリー・ギルバート・グレイシーの異母弟の名前は「エイサ」でした。
また、ジョージ・グレイシーと不倫相手のパッターソン夫人との子供は「ダニエル」でした。
もし仮に、使用人のエイサ・ギルバートがメアリーの異母弟の「エイサ」で、ダニエル・パッターソンがジョージ・グレイシーの不倫の末の息子「ダニエル」であったとすれば、マスター・グレイシーは、叔父の「エイサ」と異母弟(兄?)「ダニエル」を使用人として雇っていたことになります。
現在、調べた限りでは、マスター・グレイシーとエイサ、ダニエルの血のつながりについて詳しく言及がされているものを見つけることはできませんでしたが、もし、血のつながりもあるとしたら…それも館の呪いなのか、ゾクッとしてしまいますよね。
首吊りの男
最後に、ストレッチングルームを出る直前に見ることができる、天井の首吊りしている男について紹介します。
ゴースト・ホストが、マスター・グレイシーと同一人物であるという話を前提にすると、前回、紹介させていただきましたように、マダムレオタに追い込まれて自らの人生に幕を閉じたマスター・グレイシーの姿ということになります。
マスター・グレイシーの物語の詳細は、「ホーンテッドマンションのバックグラウンドストーリーを紹介~館の歴代の主~」で紹介させていただきます。
一方で、先に述べましたように、マスター・グレイシー≠ゴーストホストという話があります。そのことを前提とするならば、単にゴーストホストの最期の姿で、何等かの理由で首を吊ったに過ぎないということになります。ただ、この館で亡くなっていることからすると、マスター・グレイシーとは何等かのつながりのある人物なのかもしれません…
まとめ
以上が、ホーンテッドマンションのプレショーの部屋(ホワイエ・ストレッチングルーム)に係る物語の紹介です!
引き続き、ホーンテッド・マンションの各部屋に係るストーリー紹介を投稿いたしますので、お楽しみに!
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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