「あのアトラクション、なくなるの?」と思った方へ
ディズニーパークで長年愛されてきたスプラッシュマウンテン。アメリカでは「ティアナのバイユーアドベンチャー」としてリニューアルが進んでいますが、こんな疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
「東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテンも変わるの?」 「日本でなくなることはある?」
この記事では、アメリカで変更が進む背景から、日本だけが違う理由についての私なりの考えまで、できるだけわかりやすく書いてみます。ディズニーに詳しくなくても読めるように書いていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
【私の結論】日本はすぐには変わらない。でも将来はわからない
まず、私自身の考えを先にお伝えします。
東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテンが近い将来リニューアルされる可能性は、現時点では低いのではないかと考えています。
ただし、長期的には変更の可能性はゼロではないと思っています。
その理由として私が考えているのは、以下のような点です。
- 日本ではアメリカと比較して「(今すぐに)変更すべき」というほど問題意識がまだ広がっていない
- テーマエリアの設計上、ティアナのテーマは馴染みにくいのではないか
- オリエンタルランド(東京ディズニーランドの運営会社)は独自の判断をする傾向がある
- 過去に「カリブの海賊」でも日米で異なる対応が取られた実績がある
- スプラッシュマウンテンを変更するとなれば時間とコストがかかるところ、すでに別エリアの大規模リニューアルが予定されていること
あくまで公式情報ではなく、私の考察です。ひとつずつ掘り下げていきましょう。
その前に、スプラッシュマウンテンのバックグラウンドストーリーについてはこちらの記事で紹介しております。
アメリカでなぜ変更されたの?背景を知ろう
「南部の唄」という映画が問題になった
スプラッシュマウンテンの元になっているのは、1946年に公開されたディズニー映画『南部の唄(Song of the South)』です。映画には「Zip-a-Dee-Doo-Dah」という有名な楽曲が登場し、アトラクションでもおなじみのメロディとして使われてきました。
では、なぜこの映画が問題視されるようになったのでしょうか。
これは、映画での描かれ方と時代背景が問題とされています。舞台となっているのは南北戦争後のアメリカ南部。この時代は黒人差別が色濃く残っていた時代でした。映画の中でアフリカ系アメリカ人が描かれる様子が、当時の不平等な状況を美化しているという批判が長年にわたって続いてきたのです。
民話自体(ブレア・ラビットのキャラクターなど)は問題があるわけではありません。しかし、その物語が「南部の美しい暮らし」として描かれる文脈が、現代の価値観とのズレを生んでいると指摘されています。
ティアナが選ばれた理由
リニューアル後のテーマとなる「ティアナのバイユーアドベンチャー」は、2009年の映画『プリンセスと魔法のキス』が原作です。
主人公のティアナはディズニー初のアフリカ系アメリカ人プリンセス。舞台はアメリカ南部のニューオーリンズ。この選択には「同じ南部を舞台に、ポジティブなアフリカ系アメリカ人の物語を描く」という意図があると言われています。
ティアナへの変更は、単なるキャラクター入れ替えではなく、テーマそのものを刷新するメッセージが込められているのです。
エリア設計から考える「日本だけ違う理由」(私見)
アメリカのスプラッシュマウンテンと日本の設計の違い
スプラッシュマウンテンは、アメリカに2か所(カリフォルニアとフロリダ)、そして東京に1か所あり、カリフォルニアとフロリダは「ティアナのバイユーアドベンチャー」へとリニューアルされています。
ただ、同じアトラクションといえど、各パークで、設計の背景が異なります。
確かに、東京ディズニーランドとカリフォルニアのディズニーランドは「クリッターカントリー」にスプラッシュマウンテンがありました。
では、何が違うのかというと、周辺エリアの構成です。
カリフォルニアのクリッターカントリーは、ニューオーリンズの雰囲気を再現した「ニューオーリンズスクエア」に隣接しています。ティアナの物語の舞台がニューオーリンズであることを考えると、アトラクションのテーマが変わっても周囲のエリアとの流れが自然につながるのです(なお、リニューアルとともに、スプラッシュマウンテンがあった場所のエリア名もニューオリンズスクエアに変更になっています)。
さらに、フロリダも、スプラッシュマウンテンはフロンティアランドという「アメリカの西部・自然」をイメージしたエリアに位置しており、ティアナの自然豊かなバイユー(湿地帯)のイメージとある程度つながります。
東京の場合はどうか——テーマの「重複」が問題になる
東京ディズニーランドには「ニューオーリンズスクエア」というエリアこそありませんが、アドベンチャーランドの中(カリブの海賊、カフェ・オーリンズ周辺)にニューオーリンズをテーマにしたエリアが設けられています。つまり、ニューオーリンズ的な世界観はすでにパーク内に存在しているのです。
そこにさらに、ニューオーリンズを舞台にしたティアナのアトラクションをクリッターカントリーに置くことになれば、同じテーマが離れた2か所に存在するという状況が生まれます。ディズニーパークの設計において、これは異例なことになると思います。
パーク全体を通して、「ひとつの物語世界」を成立するよう設計されているディズニーランドでは、同じテーマの重複は世界観の一貫性を損なうリスク(物語世界が類似ないし重複してしまう)があります。カリフォルニアでティアナのテーマが自然にはまるのは、ニューオーリンズスクエアと隣り合う「一体感」があるからこそ。東京でそれを再現しようとすると、むしろ矛盾が生じてしまうのです。
ホーンテッドマンションが教えてくれること
この「テーマの重複を避ける」という方針は、ホーンテッドマンションにも読み取ることができます。
カリフォルニアディズニーランドにおいて、ホーンテッドマンションはニューオリンズスクエアにあります。
そこで、ホーンテッドマンションはカリフォルニアでは南部の大農園風の邸宅(プランテーション様式)として建てられています。すなわち、ニューオーリンズの南部的な雰囲気と調和したデザインです。
一方、東京ディズニーランドのホーンテッドマンションはフロリダ版と同じ、アメリカ北部の古い邸宅風のデザインを採用しています。
なぜ東京版がカリフォルニアの南部邸宅スタイルではなく、北部邸宅スタイルを選んだのか——その理由のひとつとして、アドベンチャーランドにすでにニューオーリンズテーマがある東京では、さらに南部的なデザインを重ねることを避けたのではないかと考えられます。
つまりオリエンタルランドには、同じようなテーマや雰囲気をパーク内に重複させないという設計方針があると見ることができます。この視点で考えると、ニューオーリンズを舞台にしたティアナのテーマが東京のスプラッシュマウンテンに採用されにくい理由が、より鮮明になってきます。
カリブの海賊も変わった。でも日本は?
もうひとつ、参考になる事例があります。「カリブの海賊」です。
アメリカのパークでは、アトラクション内にあった「花嫁を売る競売シーン(Buy a Bride)」が問題視され、のちに競売の対象が宝物に変更されました。女性を競売にかけることを描写したシーンが現代の価値観と合わないとして、修正されたのです。
では、東京ディズニーランドではどうだったかというと——日本版のシーンはそのままの状態で維持されています。
建物の2階には「Buy a Bride」と書かれたサインが今も残っており、アメリカ版が変更した内容がそのままになっています。オリエンタルランドは、アメリカ本社(ウォルト・ディズニー・カンパニー)のライセンスのもとで運営していますが、アトラクションの内容については独自の判断をとることがあります。
「アメリカで変わったから日本も変わる」とは必ずしもならない。そのことをカリブの海賊は示しています。
歴史と投資計画から見る「変更のしにくさ」
エリア単位の大規模リニューアル
オリエンタルランドは2025年4月に「2035長期経営戦略」を発表しました。その中で、テーマパークの「用地のダイナミックな再編」が掲げられており、*アドベンチャーランド周辺(ウエスタンリバー鉄道やジャングルクルーズが含まれるエリア)を対象とした大規模リニューアルの構想イメージが公開されました。*2029年度以降の着工が視野に入れられています。
注目すべきは、この再開発の対象はあくまでアドベンチャーランド周辺であり、スプラッシュマウンテンが位置するクリッターカントリーは現時点では射程に含まれていないという点です。つまり投資計画の観点からも、スプラッシュマウンテン自体が近い将来に変更される可能性は低いと私は考えています。
変更されるとしたら、どんなパターン?
「絶対にない」とは言い切れないので、変更の可能性がある場合も考えておきましょう。
パターン① アドベンチャーランドの刷新でニューオーリンズエリアがなくなる場合
これが、現実的にもっともあり得るシナリオかもしれません。
前述のとおり、東京でティアナのテーマを導入しにくい大きな理由のひとつが、「アドベンチャーランド内にすでにニューオーリンズテーマが存在する」という点です。しかしこの前提は、アドベンチャーランド自体が刷新されれば変わります。
オリエンタルランドの2035長期経営戦略では、アドベンチャーランド周辺エリアの再開発構想が示されており、2029年度以降の着工が視野に入っています。もしその中でニューオーリンズエリアがなくなったり、テーマが大きく変わったりすれば、テーマ重複という障壁が取り除かれ、スプラッシュマウンテンのリニューアル議論が生まれる余地が出てくるかもしれません。
直接の再開発対象ではないからこそ、隣接エリアの動向が間接的に影響してくる——そう考えると、2029年以降のアドベンチャーランドの行方から目が離せなくなります。
パターン② 社会的な議論が日本でも高まった場合
現在、日本では「スプラッシュマウンテンの文化的な背景を問題視する」という議論はあまり見られません。しかし社会の空気は変わることがあります。もし日本でも問題意識が広がれば、その流れが変更の検討につながる可能性は否定できません。(但し、日本の東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドはも、2020年時点で、アップデートはないが現在アメリカのディズニー社と検討中と発言あり。)
まとめ:「変更かどうか」より深い問い
スプラッシュマウンテンの話は、単に「キャラクターが変わるかどうか」という話ではないと私は思っています。
その背景には、文化・歴史・価値観の問題があり、エリア設計と経営判断の問題があり、アメリカと日本の社会的文脈の違いがあります。
私個人の見立てでは、東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテンが近い将来に変わる可能性は低いと考えています。ただしそれは、「変わらなくていい」という判断なのか、「変える必要性がまだない」という判断なのか、あるいは「変えたくても設計上難しい」という事情なのか——そのあたりは外からはわからない部分も多く、おそらくいくつかの要素が複雑に絡み合っているのだろうと想像しています。
パークを歩くとき、ただ乗って楽しむだけでなく、「このアトラクションはどんな思想で設計されたんだろう」と少し考えてみると、また違う楽しみ方ができるかもしれません。
おわりに:あなたはどう思う?
スプラッシュマウンテンについて、「変わってほしい」「変わってほしくない」、さまざまな思いがあると思います。
大切なのは、その変更の背景にある考え方や文脈を知ること。知った上で、自分なりの意見を持つこと。
もしよければ、あなたが感じたことをコメントで教えてください。「日本版はどうあってほしいか」「このアトラクションへの思い出」など、何でも大歓迎です。みなさんの声をぜひ聞かせてください。
この記事の内容は、公開情報および筆者の考察に基づいています。オリエンタルランドおよびウォルト・ディズニー・カンパニーの公式発表ではありません。
参考資料
- オリエンタルランド「2035長期経営戦略」(2025年4月28日発表)




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