今回は、アメリカンウオーターフロントエリアにあるフードスタンドであるリバティ・ランディング・ダイナーについてのバックグラウンドストーリー(以下BGS)を紹介させていただきます。
リバティ・ランディング・ダイナー
リバティ・ランディング・ダイナーは、アメリカンウォーターフロントにあるフードスタンドです。
現在休止しておりますが、お店では、ポークライスロールや、みそクリームスープ、期間限定でクリーム・シェイブアイス(タピオカ抹茶あずき)等が提供されていました。
2022年9月以降は、チュロス(みたらしシュガー)や、リバティサンデー(あんみつをイメージしたサンデー)を提供しています。
リバティ・ランディング・ダイナーのBGS
元々は船の機械の修理屋だった?
上の写真はリバティ・ランディング・ダイナーの看板です。
よく見ると「DINER」の部分は、元々あった看板に上から板を打ち付けたようになっています。
実はこの小屋元々は、「LIBERTY LANDING MARINE ENGINE REPAIRS」という船のエンジンやボイラーを修理するお店でした。
レストラン櫻側からお店の壁面を見ると、現在は「リバティ・ランディング・ダイナー」の看板で隠れてしまっているお店の名前を確認することができます。
修理工の妻が一念発起!自らの手料理をふるまい大人気店に!
「LIBERTY LANDING MARINE ENGINE REPAIRS」の主人は非常に腕が良いらしく、多くの船が行き交うニューヨーク港では、エンジンの修理やメンテナンスの依頼が絶えなかったのだそう。そのため、修理工の主人はいつも忙しい日々を送っていたそうです。
そこで忙しい夫の仕事姿を見ていた妻は「私も何か力になれないかしら?」と考えました。そこで、何ができるか考えた結果、自分の得意分野である料理で手伝おうと考えます。具体的には、夫や従業員、はたまたお店に来た船乗りたちに自慢の手料理を提供し始めたそう。
そして、この手料理がニューヨーク港でたちまち評判になります。いつしか、「LIBERTY LANDING MARINE ENGINE REPAIRS」には船の修理目的ではなく、彼女の料理を食べることを目的にやってくる人も増えてきました。
そこで、彼女も故郷の味を伝えるフードスタンドとしてお店を構えることを決意。船の修理のお店のウォーターフロントパーク側(陸側)を改装し、「リバティ・ランディング・ダイナー」を開店しました。
妻はフードスタンド、夫は修理屋
夫の現在の仕事
ところで、フードスタンドを開店したはいいものの、夫は現在何をやっているの?という点が気になりますよね。
この点は、「リバティ・ランディング・ダイナー」の看板の隣を見るとわかります。
THE WIFE SERVES CHOW IN FRONT OF THE SHACK.
BUT I STILL FIX ENGINES ROUND THE BACK!
うちの家内が小屋の表で食事を提供しているが、
私は今も小屋の裏でエンジンを直しているよ!
どうやら夫は修理工を続けているようです。
夫の現在の仕事場
実は修理工をしている夫の仕事場を覗くことができるのをご存じですか?
お店の脇から小屋の裏に回ることができます。
この道を進んでいきますと、まず船の修理に使う道具や、船の部品の格納庫なのか、非常に背の高いドアが右手に見えます。
ここをさらに進んでいきますとこのような風景が広がります。
どうやら作業台のようです。現在も作業中なのか工具も置いたままになっています。
また、作業台には工具だけでなく、アメリカンウォーターフロントの舞台、20世紀初頭に活躍した実際のエンジンも置いてあります。
かつては作業台は、小屋の中にあったのでしょうか・・・妻の店の繁盛に伴いスペースがなくなって作業台が外に移動し、雨の日もこの作業台を使って作業していると考えると・・・ちょっと切ないですね。
夫の修理屋も繁盛している
夫の修理工の腕も健在らしく、ちょうどお客さんが来ている様子です。
作業台の近くに船が係留されています。おそらくですが、作業台のエンジンはこの船のものなのでしょう。
この船は、ニューヨーク港で重要な仕事をしている船で、港に出入りする船の秩序を保つハーバーポリスのパトロール船です。
ニューヨーク港で事故が起きていないのは、彼らのおかげかもしれません。
ちなみにこの船の名前は“R.WALDO”という名前なのですが、船名の由来は、1911~1912年にニューヨーク市の警察署長を務めた人物らしいです。
また、リバティ・ランディング・ダイナーの裏側は次のようになっており、海側にはしごがかかっています。
船をメンテンナンスする際や、船から作業台へ荷物を引き上げる際はこのはしごを使っているのでしょう。
私たちからするとお店の看板の記載の通り、店の表はリバティ・ランディング・ダイナー側と思ってしまいますが、船を利用している方からすればこっちの方が表のようです。
錆びてしまい、もう読むことは難しいですが、港を行き交う船に向けて掲げていたのだろう「LIBERTY LANDING MARINE ENGINE REPAIRS」の看板も見えます。
おまけ①~妻は日本人?~
リバティ・ランディング・ダイナーでは、修理工の妻が自身の故郷の味を伝えるフードスタンドとしてお店を構えることを決意し開いたお店らしいのですが、妻の故郷とは・・・?
お店のメニューをこの記事の冒頭付近で紹介させていただきましたが、“ポークライスロール、みそクリームスープ、クリーム・シェイブアイス(タピオカ抹茶あずき)”、“みたらしチュロス”と和食をイメージした料理が印象的です。
もしかしたら日本人なのかもしれませんね。
また、偶然なのか、リバティ・ランディング・ダイナーのお隣のお店は元魚市場“リバティ・フィッシュマーケット”を改装して作った日本食レストラン“レストラン櫻”があります。
もしかしたら、修理工の妻は“レストラン櫻”のオーナーのチャーリー田中とは親しいのかもしれませんね。ちなみに、レストラン櫻では“チャーリー特製味噌クラムチャウダー”というメニューがあります。リバティ・ランディング・ダイナーのみそクリームスープはこのクラムチャウダーからヒントを得たのかも(?)。
レストラン櫻のストーリーについては次の記事で紹介させていただきましたので、よかったら是非ご覧になってください。
おまけ②~フードショップの関係者とは?~
もともとは、船のエンジン等の修理屋の小屋であったためか、お店の関係者入口は“MECHANICS ONLY”と記載されております。
このお店のBGSがあってこその表示で興味深いですよね!
最後に
今回は、リバティ・ランディング・ダイナーの紹介でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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