こんにちは!
今回は、現在休止中(~2023年4月7日まで)のアトラクション“カリブの海賊”の入り口の海賊旗について紹介させていただきます。
旗からのメッセージ
実在した海賊として最も有名といっても過言ではないエドワード・ティーチ(通称:黒ひげ)たちが活躍した17世紀後半から18世紀前半は、現代と違って当然、通信機器等なく、船に掲げる旗は重要なコミュニケーションツールの一つでした。
そして海賊旗もまた、同様に相手にメッセージを送る手段の一つだったといわれています。
色によって意味が変わる?
海賊は、貿易船等から荷物を奪う場合、必ず暴力を伴うということはなかったようです。
確かに、海上では物資も、人も限られていますし、暴力を伴わずに済むのであれば、その方が効率的ですよね💡
そこで、暴力を伴うものなのか、否かメッセージの役割を担っていたのが海賊旗の色でした。
どういうことかといいますと・・・
黒い旗を掲げたときは「戦わずに降伏せよ、そうすれば積み荷の4分の1は残してやる」
赤い旗を掲げたときは「乗船し容赦なく攻撃する」
というように同じ海賊旗のデザインでも色が変わればメッセージが変わっていたとのこと。
赤い旗は、黒い旗を見せても降伏しなかった場合等に主に掲げられた最終手段のようです💡
なので、カリブの海賊の入口の左から2番目のフラッグが掲げられた場合は一番危険ということになります!
海賊旗を掲げるタイミングも大切
海賊の目的は、他人の財物を奪うことです。
しかし、もし、いつも海賊旗を掲げていたらどうでしょう?
貿易船はその船に誰も近寄りませんよね?
そこで、ある程度ターゲットに近づいてから、海賊旗を掲げていたとのことでした。
それに加えて、ターゲットに近づくためにさらに工夫もしていました。
どういうことかというと、あらかじめ略奪などで様々な国の旗を船内に準備して、ターゲットと同じ国籍の旗を掲げていたのです。
同じ国籍の船なら近づかれても、警戒しないですもんね(;’∀’)
実際の例でいうと、ウェールズ生まれの海賊バーソロミュー・ロバーツが、略奪した船からオランダの旗を奪い掲げていたところ、オランダの奴隷船だと思い込んだフランス国籍の船が近寄ってきて、その船を襲うことに成功したこともあるのだとか。
一方で、商船側もそのような海賊の戦法から学んで、あえて自国の国籍とは異なる旗を掲げることもあったのだとか。
これは、単に海賊対策であったというだけでなく、私掠船対策も兼ねていたようです。
16世紀から17世紀のヨーロッパで、国が外国籍の船を略奪することを認めた人、団体の船をいう。
国としては、海軍の力が敵国より劣っていたとしても、私掠船という傭兵を使って敵国を攻撃を加えることができ、さらに私掠船に許可を与える代わりにが略奪した財物の一部を国に納めさせていたので、一石二鳥だったようです。
一応、国に帰属しているから海賊とは厳密には区別されるようですが、行っている中身は海賊の略奪とは異なるので、「公認海賊」といった呼ばれ方をされることもあるようです。
ちなみに、有名な人物としては、エリザベス1世に許可を与えられたフランシス・ドレークがあげられます。
入口の海賊旗と実在の海賊たち
ここからは、カリブの海賊の入口に掲げられている4つの旗と、その海賊たちについてそれぞれ紹介いたします。
ヘンリー・エイブリー
まずは、カリブの海賊の入口向かって一番左の旗に関する海賊について。
この旗をモチーフにしていた海賊は、ヘンリー・エイブリーといった
17世紀後半にインド洋で活躍したイギリス出身の海賊でした。
彼に関する有名なエピソードとしては、
あるとき、彼の率いる海賊団は、ムガール帝国(インド)の皇帝の船を拿捕することに成功し、現在の価値で約220億円ほどの財宝を手に入れたそうです。
そして、その後、略奪した財産を船員で分け、海賊団を解散したあとは、ヘンリー・エイブリーの消息を絶ったというものです。
一説には財産をだまし取られて物乞いになって亡くなったという話もありますが、
ただ、このような海賊としての活躍から、彼は“海賊王”や“大海賊”などと呼ばれるようになりました。
さて、ヘンリーエイブリーの海賊旗は、
骸骨が横向きなっている姿が特徴的です。
ジャック・スパロウの海賊旗が下のデザインなので、おそらくジャック・スパロウは、海賊王ヘンリー・エイブリーの旗のデザインを参考にしたようですね💡
クリストファー・ムーディ
次に、カリブの海賊の入口向かって左から2番目の旗に関する海賊について。
この旗をモチーフにしたのは、クリストファー・ムーディ。
17世紀後半から18世紀前半に実在した海賊で、400隻に及ぶ船舶を略奪したと言われているバーソロミューロバーツの海賊団の乗組員の一人と言われています。
彼の海賊旗についてですが、
羽の生えた砂時計、短剣を持った白い腕、ドクロが並んでいますが、砂時計に羽が生えているのは、略奪される側の人たちに残されている時間(≠生きていることができる時間)が飛んでなくなってしまっているというメッセージが込められているそうです。
もっとも、この海賊旗については、クリストファー・ムーディは、船長になったことはないので、この旗は別の海賊のものである、架空のデザインだという説もあります。
ジョン・ラカム
次に、カリブの海賊の入口向かって左から3番目の旗に関する海賊について。
この旗をモチーフにしたのは、ジョン・ラカム。
ジョン・ラカムは、18世紀にカリブ海で活躍した海賊の一人です。当時では珍しかったキャラコをつかった帽子や衣服を身に着けていたので、キャラコジャックともいわれています。
彼の海賊団は、先ほど紹介したヘンリー・エイブリーとは異なり、カリブ海の小型商船等を主にターゲットとする比較的小規模なもので目立った功績等はありません。
しかし、彼の海賊団には、アン・ボニー、メアリー・リードという二人の女性の海賊がいたことが最大の特徴で、このことが理由で後世まで名前が知られているといわれています。
ちなみに、アン・ボニーはジョン・ラカムの恋人でもありました。
そして、アン・ボニーとメアリー・リードは、船員の中でもとても勇敢で、
ジョン・ラカムが捕らわれ、絞首刑に処される原因となったジョナサン・バーネット率いる海賊討伐側との者たちとの船の上での戦いにおいては、
ジョン・ラカムや他の男性の船員が船倉に隠れるなか、彼女たちは最後まで甲板で戦い、抵抗したとのこと。
そして、そんな出来事があってか、ジョン・ラカムが絞首刑に処される際に、アン・ボニーは、恋人でもあったジョン・ラカムに対し、
「あたしはあんたが縛り首になるのは悲しいよ。だけどあんたがもっと男らしく戦っていたら、犬みたいに吊されなくてもすんだんだよ」
と言葉をかけたといわれています。
4月8日以降には、カリブの海賊中の花嫁オークションのシーンが、女性の海賊が、町の宝物を集めさせるシーンに変更になるのではないか?と言われておりますが、
もしかしたら、その女性海賊はアン・ボニーやメアリー・リードを参考にしているのかもしれませんね!
さて、話は変わって、ジョン・ラカム海賊旗についてですが、ドクロの下にクロスしたカトラス(舶刀)を配置したデザインで、まさに王道!といったものです。
服装もキャラコで帽子や衣服をそろえる等オシャレな一面もある船長ともあってなのか、海賊旗もどこかシンプルかつスタイリッシュですよね💡
そして、こちらの旗は、映画パイレーツオブカリビアンシリーズにおいて、ブラックパール号に掲げられていた旗でもあり、カリブの海賊とも関係が深い旗となっています!
エドワード・ティーチ(黒ひげ)
最後に、カリブの海賊の入口向かって左から4番目の旗に関する海賊について。
この旗をモチーフにしたのは、エドワード・ティーチ。
実在した海賊として、まず思い浮かぶ名前といっても過言ではありません。
イギリス出身で、彼の率いる海賊団がフランスの大型奴隷貿易船ラ・コンコルド号を拿捕し、これを「アン女王の復讐号」と名付けて海賊団の旗艦としたころから一躍有名になりました。
その後も主にカリブ海とアメリカ東海岸で活動していましたが、1718年にイギリス海軍による海賊討伐隊との激しい戦いの中、命を落としてしまいました。
そして、彼の海賊旗のデザインは、骸骨が左手に砂時計、右手に心臓を突き刺す槍を持っているデザイン。
心臓に槍を突き刺すまで(=命を落としていまうまで)残り僅かな時間しかないといったようなメッセージが伝わってくるデザインです。
また、旗によるメッセージだけでなく、彼は船を襲う際、何丁ものピストルや、複数本のナイフを身につけ、さらに、ヒゲを三つ編みにした先に火をつけた導火線をくくりつけて煙を上げるという格好をして、彼の姿を見た相手が恐怖するような自己プロデュースも行っていました。
黒髭というあだ名このエピソードからつけられたもののようです。
おまけ~各パークには他にも旗によるメッセージが!~
TDRには、海賊旗以外にも国際信号旗といった旗を使った船どうしのコミュニケーションツールがプロップスとして飾られています。
上記のものは、アドベンチャーランドのボイラールーム・バイツ付近のものですが、TDSにも沢山の国際信号旗が飾られており、それらには隠されたメッセージがあります。
これについては、また後日紹介できればと思います!
最後に
以上、今回はカリブの海賊の入口の旗に関しての紹介でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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